2017年4月1日
左官で魅せる 老舗割烹のリフォーム(中編)
神楽坂 割烹「め乃惣」さま
http://www.menosou.com/
表通りから石畳の路地を少しを入ったところ
目抜き通りの喧騒から離れ 落ち着いた佇まいの老舗店です。
大規模改修工事を八幡工業がメインで担当させていただき
2017年3月1日よりグランドオープンしました。
おもて構えについては前編にてくわしくお伝えしました。
http://www.yawata-sakan.com/blog/?p=14547
今回は店内の様子をご案内しましょう。
カウンターでお出迎えしてくださったのは
女将さんと厨房をあずかる二代目である息子の萩原淳二さん
入口からすぐに目につく額装の色紙
大女優 水谷八重子さんの書
さて、ホームページの説明によると「め乃惣(めのそう)」の名は
明治の文豪 [泉鏡花]の代表作「婦系図(おんなけいず)」に
登場する江戸前の魚屋「め乃惣」に由来するという由緒正しい店。
この小説のモデルとなったのが初代・萩原徳次郎さん
泉鏡花先生に義侠と料理を愛され、神楽坂に料亭「うお徳」を創業。
現在の店主・萩原哲雄さんは実はこの歴史のある料亭「うを徳」の次男で
現在「うお徳」は長男があとを継いでいて、ここ「め乃惣」は昭和51年に開店。
昭和51年、当時神楽坂は、黒堀の料亭全盛期であり、
カウンター割烹が無い時代でした。
いちげんさんお断りの「うお徳」の料亭の味をカウンターで
気軽に味わって頂きたい思いから、うを徳の支店として
小割烹めの惣が開店いたしました。
うを徳 二男、萩原哲雄さんが平成10年に独立したさいに
店名を[め乃惣]に改名。
そして平成10年5月、萩原哲雄さんはテレビ番組[料理の鉄人]に挑戦。
そこで見事勝利を収め[め乃惣]としての船出を飾りました。
その時、メニューに取り入れた[海老しんじょ]は、
今でも絶大な支持を得ております。
いやはや、このような名店のおよそ15年目の改装を任せられ
左官屋の腕がなります。どころかちょっとビビります。
でも、料理の味に負けないよう、塗り壁・天井・土間仕上げと
持てる技術をフルに活用してがんばりました。
木曽ヒノキの分厚い一枚板カウンター
この下がり壁は 『版築クレド』
突き固めて作る版築ではなく、版築のテクスチャーを鏝塗りで再現する
版築風の左官仕上げです。主成分は天然真砂土と京サビ土
あらかじめバッカ―材で仕切りを作り
4段階にわけて塗り付けていき、徐々に顔料が濃い材料が
グラデーションになるように計算して仕上げました。
八幡社長も参加して、掻き落とし仕上げ。
しかも鎧状におよそ10ミリの段差がついていくという緻密な作業です。
中央を飾るのは サプライズプレゼント
店名[め乃惣]の文字が浮き上がった モルタル造形の擬木
木目は八幡専務が担当
一日かけてじっくりと木目を刻み、彫刻しました。
造形完了後、エイジング塗装を施します。
そして、緻密な作業が大好物‼? の 長塚主任が
一文字ずつ心を込めて 漆喰で白く盛り上げていきます。
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いかがでした。
みどころはまだまだたくさん。
厨房・個室の漆喰、そして床の特殊仕上げとつづきます。
この様子は、次回ご案内することとしましょう。
左官で魅せる 老舗割烹のリフォーム(前編)
3月1日よりグランドオープンしました
神楽坂 割烹「め乃惣」さま
http://www.menosou.com/
大規模改修工事の監督を八幡工業がメインで担当させていただき
2月のひとつきを様々な業種の皆さんとともに施工させていただきました。
かかわったみなさま、大工さん、電気屋さん、水道屋さん、
ガス屋さん、塗装屋さん、タイル屋さん、植木屋さん
そして弊社・左官 皆様 ありがとうございました。
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表通りから石畳の路地を少しを入ったところ
目抜き通りの喧騒から離れ 落ち着いた佇まいの老舗店です。
さて、今回は左官屋目線でご紹介させていただこうと思います。
まず目に飛び込んでくるのは真っ白な暖簾
その暖簾の下にひっそりと ある「置き行燈」に注目
これは、京都の城陽砂・真砂土に藁と白セメントを合わせ
版築状に色分けして固めたのち掻き落とし仕上げした
オリジナル左官仕上げの行燈なのです。
雨に濡れるとしっとり濡れ色になってこれまた風情があります。
中ではロウソクの炎が風で ゆらめいています。
(実はLEDの特殊照明でゆらめくタイプの製品を組み込んだ作品です)
掻き落とし仕上げをしている様子
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そして、その隣には格式のある日本料理のお店になくてはならない
そう、「坪庭」です。
坪庭には、「つくばい」 が必要です。
なので、左官で作っちゃいました。
存在感ある手水鉢風、木のオブジェ(モルタル造形)が鎮座する
板囲いの塀で区切った半畳ほどの空間。
打ち水をすると、こんなしっとりとした構えになります。
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庭には苔をいけ込み、玉砂利を敷き込み、紅葉が植えられました。
壁は 置き行燈と同じ京都の城陽砂・真砂土に藁と白セメントを合わせ
温かみのある塗り壁に仕上げました。
木のオブジェは造形担当がモルタル彫刻を完成、
その後 ペイントチームがエイジング塗装仕上げをしている様子
路地の片隅に「わび・さび」が感じられるよう
少し古びた風合いにエイジング塗装しています。
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この木のオブジェ(モルタル造形)を上から見ると
なんと、切株の中は水をたたえた手水鉢になっています。
切り株の中からはほのかな明かりとともにポコポコと水が湧き出ています
あふれた滝の渓流は 涼やかな金属質の響きを奏でながら
洞から根の方に吸い込まれていきます。
⇒ こちらで動画が再生できます。
水の音もお聞きください。 menoso
本物の石と植物、モルタルの特殊造形でつくられた
オリジナルの擬木+水琴窟による音と明かりは
ミスティーでしっとりとした癒しの庭を演出します。
いかがです、お店の中もご覧になりたいでしょ。
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店内の様子は、次回じっくりと
ご案内することとしましょう。
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