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スタッフブログ 2023年3月11日

亡き妻に捧げる「イギリススタイルのサロンリフォーム」

 

めざしたのは

シンプルで、仕立ての良いものに囲まれた「英国流のゆたかな暮らし」

葛飾区にあるI様邸の一室

壁は、スイス漆喰カルクウォールで仕上げさせていただきました

 

 

訪れるひとを出迎えてくれるのは

風に揺られてゆっくりと旋回する織物の額装

京都在住の染織作家 むらたちひろさんのアート作品です

https://murata-chihiro.tumblr.com/

 

施主のI様 は、偶然 訪れたギャラリーで 風にはためく この作品を見た瞬間

「洗濯して干していた妻の服が、風をうけて踊っているようにみえた」

病で先立たれた 奥様との忘れられない思い出とかさなって

この作品を どうしても ゆずってほしいと思ったそうです

 

 

作家のむらたさん(左) 施主 I様

むらたさんは 工事のいいタイミングで  わざわざ京都からお越しくださいました

 

 

出来上がった作品を、施主様と開梱する むらたさん

 

 

床からの高さ、天井とのバランスを確認中

 

 

取り付けのバランスをみる むらたさん

 

 

作品をやさしく照らすペンダントライトは

手拭きガラスの一点もの

 

 

麻布のカーテンを支える

アンティーク調のアイアンレール

 

 

さらっとやわらかな肌触りのアイリッシュリネンの風合い

うつくしいドレープ がつくる絶妙なライン

 

 

きれいに活けられた 花束

奥様の大好きだった植物でアレンジされています

 

 

奥様はとても器用な方で

DIYで家具を塗装したり、漆喰の塗り壁にも積極的に取り組んでいました

 

 

ウィリアム・モリスのデザインした植物柄の壁紙

これも奥様が貼ったものです

共柄のコンセントプレートはご主人様が カルトナージュで丁寧に仕上げています

 

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 コロナ禍の2022年 春

ご主人様から リフォーム相談の件でと、ご連絡をいただき

数年ぶりでお宅を訪問させていただきました

 

まずは 奥様がお亡くなりになったことを告げられ驚きました

いっしょに漆喰を塗っていた、とてもアクティブだった姿が印象的だったので・・・

 

 

*1階のリビングダイニング: 奥様がコーディネートした英国調のインテリアで統一

  職人が天井を仕上げ、壁塗りの漆喰は奥様が手がけました (あれから8年)

 

奥様が長い闘病生活の中で 心残りだった のは、

2階のお部屋のリフォームを完成させることができないままだったこと


最期に遺言として 夫に伝えたのは

「あの部屋は 八幡工業の斎藤さんに相談してください

 

 

笑顔がステキな奥様

祭壇に手を合わせ、お線香をあげさせていただきました

 

そして、あらためて奥様のコーディネートを拝見

 

 

モーリスの壁紙とお気に入りのオーダーカーテン

 

 

ボタニカルなシェイプのランプシェード

さりげなく 吊るされたドライフラワー

 

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案内された2階の部屋

奥様が3年前 体調が悪くなってからそのままの状態

 


リフォーム作業の途中のまま 

今にも 作業中の奥様が 笑顔で出てきてくれそう・・・

 


奥様がいなくなって 数か月後

いつまでも落ち込んでいるわけにはいかないと 見せてくれました

 

 

用具も取りそろえ  着々と準備をされています

 


テープ養生もそのままに、パテ処理などがんばっていらしたのだなぁ

 

 

天井の飾りのモールの取り付け、塗装は下塗りの状態

 

 

お部屋をみていたら いつのまにか

奥様がとてもかわいがっていた猫ちゃんがあいさつに来てくれました

「あとはよろしくお願いいたします」

と、声が聞こえたような気がしました

 

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ご依頼の項目を整理し、お見積もりを開始

1. DIY残材などの引き取りと 廃棄処分のお手伝い

2. 塗装・漆喰の塗り仕上げ作業を引き継ぐ

3. カーテンのオーダーメード

4. エアコン新設

5. 照明器具の取り付け工事

6. アート作品のパネル設置にともなう付帯工事

・・・・など細かいことに気を配ります

 

 

 この日は、カーテンの打合せ

亀有の インテリアショップ「 ファブリカ」さんが来てくれました

http://fabrica.co.jp/

 

 

ワゴン車の中は、カーテンの移動ショールーム

 

 

クロスと合わせようかと モリスの見本を実際に窓に下げてみました

 

 

 

レールや、タッセルも カタログから色形を選んでいただきました。

 


壁の漆喰  壁紙との色合わせの見本を作りました

漆喰は奥様のお気に入りのスイス漆喰カルクウォール

 

 

アク止め処理を行ったのち

専用の下塗り材を塗布しました

 

 

仕上げは はなさんが担当しました

 

スイス漆喰カルクウォール

ご主人は悩んだ末、シンプルに 白に決めました

 

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順番が前後しますが、天井との見切り、壁紙とのボーダーは

漆喰工事の前に 塗装し直しました (アミックさん)

 

 

使った塗装材はバターミルクペイントの

イエローウィッシュホワイト(奥様のご指定色です)

 

 

塗装工事・漆喰工事が仕上がって 乾いたタイミングで 


クサマデンキさんにエアコンの設置工事に入っていただきました

 

 

各工事が終わり、最後にカーテン取り付け

オーダーカーテンは注文から4週間後に届きました

コロナ禍の輸送の遅れの影響もあり、輸入品だったのでお待たせしました

 

 

レール金具を取り付けるのは、カーテンの端を綺麗に納める工夫

 

 

照明のベース部分へのメダリオンの工事

 


アカンシスの彫刻が、天井漆喰の模様と相まって素敵に映えます

 

 

白い西洋漆喰とモリスの壁紙と、ボーダーの装飾材

 

                        

天井の廻り縁 漆喰に合う気品ある意匠

 

 

お掃除が終わって、

最初のお客様は 猫ちゃんでした

「お疲れさまでした」

と言ってくれたのかな

 

英国暮らしの著書が多数ある  井形慶子さんによると

「イギリス人は家を買う時に、利便性より『個性』と『歴史』を大切にします。

 家は持った時から『家づくりの夢』が始まり、

 その家を通して自分の好きなものや人生観を表現していく。

   そしてそこで表現された『個性』や『歴史』に最大の敬意を表します。

 愛着を持って育てていく古いだけではない『成熟した家』をめざす。」

 

英国流のゆたかな暮らしは、こうやって丁寧な仕事によって作られていくのかな

たくさんのご縁でつながった 忘れられないリフォームを納めさせていただきました

関係者のみなさま、ご協力ありがとうございました

レポートは 八幡工業・ナチュラワイズの斎藤でした


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